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コラム

"捨ててしまうもの"を"使えるもの"へ変えるサステナブル ~海外ならでのサステナブルも紹介~

ブランドリユースのコメ兵と、プラスチックゴミ問題解決に向けてビニール傘からバッグを作るPLASTICITY。今回もエシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さんが、PLASTICITYデザイナーのAkiさんとコメ兵のオウンドメディア『KÓMERU』編集長の坊所に、サステナブルなものづくりへの想いについてインタビュー。

身近なもの・ことからできるサステナブルとは

話す女性2人

エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さん(以下、エバンズ):不要になったビニール傘からバッグを製作しているPLASTICITYは、サステナブルなブランドであるとメディアでも話題ですね。商品誕生とブランド立ち上げの経緯や、そこに込めている想いについて教えてください。

PLASTICITY:誰もが使ったことのあるアイテムでのサステナブル

話す女性

PLASTICITYデザイナーAki(以下、Aki):2~3年前、社会人を辞めて専門学校へ入りました。そこで立ち上げたプロジェクトが今のブランド、PLASTICITYです。そもそも専門学校へ入った理由も、「環境や動物に優しい素材でものづくりをしたい」という想いからでした。

ブランド立ち上げのきっかけはいくつかありますが、特に印象的なのはテレビで見たビニール傘が廃棄されるニュース。ビニール部分が絡まって、リサイクルできずに捨てられていく映像は非常にインパクトがありました。

もう1つは友人との会話です。友人がよくビニール傘を使っており、その話題になった時に「要らなくなったら捨てればいいから便利だよね」と話していて。確かにビニール傘はよく廃棄されているし、捨てることにそれほど抵抗がないアイテムなのかなと。そういう身近な人との会話からも、ビニール傘を再利用したい想いが強くなっていきました。

ちょうどその時、専門学校で学生がブランドを立ち上げるコンペが行われていて、そこに「ビニール傘をリサイクルしてバッグを作るプロジェクト」を提案したことがPLASTICITYの始まりです。

KÓMERU編集長 坊所(以下、坊所):ビニール傘って簡単に買えて、誰でも使ったことがあるから興味が沸きやすく、自分に関係のない話だとは思わない。「身近なものを利用したサステナブル」のお手本みたいですね。

Akiさん:色んな意味で「身近」っていうのも凄くポイントで。制作面においては、ビニール傘は周りにたくさんあるので、私にとってチャレンジしやすい素材でした。

コメ兵:ユーズドアイテムの価値を高めるというサステナブル

エバンズ:サステナブルという言葉だけ聞くと、自分に関係のない話だと感じてしまう人もいるかもしれません。でも、実はビニール傘など生活に密着したものが関わってくる、私達にとって身近な話題なんですね。

それに加えて古着を買うことも、捨てられるものを減らせるのでサステナブルな取り組みだと思います。長年リユース事業に携わっているコメ兵さんは、最近リユースに対するお客様の意識の変化を感じることはありますか。

話す女性

坊所:最近のファッション業界は、有名ブランドのデザイナーも次々と交代しているのが特徴です。弊社ではそこに焦点を当て、期間限定POPUPイベントを展開しています。新品を販売する一次流通だと、店頭には今のデザイナーのものしか置けませんよね。でも弊社のようなリユース販売、二次流通だと新旧のデザインを並べて販売することができます。

そうした期間限定POPUPイベントを行う中で、前のデザイナーの作品が好きな方や、おしゃれでファッション感度の高い方にご来店いただく機会が増えています。このようなイベントを通じて、「ユーズドを買うこともおしゃれ」という意識が広まっていく。ユーズドの価値を高めることが、サステナブルなアクションを増やすきっかけへとつながっていくのではないかと思います。

サステナブルなものづくりへの想いとは

エバンズ:PLASTICITYの製品はサステナブルなだけでなく、スタイリッシュで思わず手に取ってみたくなる魅力がありますね。Akiさんがサステナブルなものづくりする上で、こだわっているポイントはありますか。

創り手であるPLASTICITYの想い

Aki:創り手としては、できればすべてエコな素材を使いたいんですけれど、現状なかなか難しいですね。アップサイクルするのが難しいパーツもありますし。また、エコにこだわりすぎて、作っても売れなければまたゴミとなり、再利用した意味がなくなってしまう。買いたいと思ってもらえるものを作ることが重要なので、金具などは新しいパーツで作るとか、その辺りのバランスには気を付けています。

ビニール側でできた鞄

坊所:製品の素材はどこで作られているんですか?

Aki:関東圏の商業施設や鉄道会社から回収したビニール傘を、埼玉で解体し、栃木でプレスし、都内で縫製をしています。トートバッグ1点につき、ビニール傘約2-4本分を素材として使っています。

エバンズ:実は私も、このトートバッグを1年以上使っているんです。おしゃれで耐久性があり、もとは傘だから防水性も抜群。日常使いしやすいのでとてもお気に入りです。

創り手の想いに対するコメ兵の姿勢

エバンズ:Akiさんの作られたトートバッグのように、サステナブルであると同時にデザインが好きだとか使いやすいとか、商品そのものの魅力も大切ですよね。さまざまなブランドの商品を取り扱うリユースショップのコメ兵さんでは、接客の際に創り手、ブランドやデザイナーの想いを伝える上で意識していることはありますか。

話す女性

坊所:リユースだといろいろなブランドを取り扱うので、接客の中でこのブランドはどういったブランドなのか、しっかり説明できるようにしています。例えばステラマッカートニー(Stella McCartney)は、サステナブルな取り組みに力を入れたブランドとして有名です。リアルファーではなくエコファー、レザーではなく合皮を使うなどのこだわりがあります。

ステラマッカートニー

ステラマッカートニーはブランド設立当初から、動物の皮革を使わないという信念があって、その信念に沿って合皮を使っている。そういう部分をしっかり伝えられると、お客様の中で素材に対しての意識が変わると思うんです。普段あまり合皮のアイテムを選ばないお客様でも、ブランドの信念に賛同していただければ手に取ってもらえる。ですのでそのブランドがどういう意図で素材を使っているか、ものづくりをしているかを伝えられるよう意識しています。

海外でのサステナブルの取り組みとは

エバンズ:サステナブルという概念は今日本で急速に広まりつつありますが、海外ではもっと前から浸透しているイメージがありますね。海外で暮らした経験もあるAkiさんですが、海外生活から影響を受けたことはありますか。

日々の生活に溶け込むサステナブル

話す女性

Aki:海外生活からは、時には不便な日常を受け入れるという姿勢を学びました。日本はとても便利な国ですが、それが問題を引き起こすこともあります。ビニール傘の廃棄問題もそうです。ビニール傘を頻繁に買わなくなったら不便かもしれないけれど、雨が降りそうな日はバッグの中に折り畳み傘を入れておくとか、フード付きのジャケットを着て行くとか、自分の行動を変えていけばいい。便利さは必ずしも豊かさではない、という思考につながるヒントになった気がしています。

海外ブランドのサステナブルな取り組み

話す女性2人

坊所:海外では今、ザ・リアルリアル(The RealReal)というアメリカのリユース販売サイトが、グッチ(GUCCI)とパートナーシップを結ぶ取り組みが行われています。日本では一次流通と二次流通がパートナーシップを結ぶというのは、あまり見られない組み合わせです。

この取り組みでは、ブランドがリユース販売とパートナーシップを結ぶことを通して、顧客がよりサステナブルにファッションを楽しむことを後押ししています。さらにグッチは、ザ・リアルリアルでグッチの商品が1点売れたら、植樹を1本植えるキャンペーンも行っているようです。日本ではまだこのような話は聞きませんが、この先一次流通と二次流通が協力していけば、よりファッション業界でサステナブルな動きが加速していくのではないかと期待しています。

新たなサステナブルな取り組み

エバンズ:今世界的にセカンドハンドのマーケットが凄く伸びていて、リユース品やリメイクした商品を買う傾向が強まると言われていますね。そういった世の中の流れの中で、コメ兵として目指しているもの、またAkiさん個人やPLASTICITYとして取り組みたいことがあればお聞きしたいです。

コメ兵がアップサイクルした記念ジュエリー

坊所:コメ兵では、大学と提携して記念ジュエリーを作る取り組みを始めています。コメ兵で買い取ったジュエリーをアップサイクルし、今風のデザインに作り替えて、それを大学が販売し、売上を奨学金にするという仕組みです。この取り組みのように、既にあるものを循環させて、それを社会に役立つことへつなげていけたら良いなと思っています。

また、ものを大切にする時代に作られた製品は、質の高いアイテムが多い。弊社の理念として、「良質を永遠につなげていく」ことを大切にしているので、一見古く見えるアイテムでも、新たな価値にできないか検討していますね。

Aki:ブランドを継続させつつ、PLASTICITYは「10年後なくなるべきブランド」というキャッチコピーを掲げているので、10年後は形を変えて活動していきたいと思っています。スタイルは、時代に合わせて柔軟に考えればいいかなと。

ビニール側でできたバラ

私個人としては、もっと素材の使い方を実験していきたい。ビニール傘以外の素材を試し、「再利用」し続けることも大事ですが、根本にある消費の仕方、行動について考えることも必要。今メインに作っているのはバッグですが、あくまでもツールだと考えています。

読者へのメッセージ

エバンズ:最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。

話す女性

Aki:私はたまたま、ビニール傘でアップサイクルを試みました。でもそれは、自分の身の回りからスタートできることがある、というヒントになってくれれば嬉しい。観察することでユニークな発見があるかもしれないし、それを見つける面白さは続けて行く上で重要です。私も楽しくなければここまで続けられませんでした。

無理してサステナブルな活動に取り組んでも、それを継続させるのは困難です。例え小さな活動だとしても、無理なく長く続けたほうが持続性につながる。身近なものからスタートしていく、まずは自分が楽しむことが、サステナブルな取り組みを続けていくコツなのかなと思います。

エバンズ:自分の興味・関心が最初にあって、それをどうサステナブルにつなげていくか、と考えていけたらベストですよね。好きから始めたことと、義務感からしていることでは、モチベーションが変わってくる気がします。

話す女性

坊所:私もAkiさんが仰ったように、最初はまず楽しんでお買い物をしたり、ファッションを楽しんだりする。そして気が付いたらその行動がサステナブルだった、という流れのほうがいいのかなと思います。

「サステナブルだから」という観点だけではなく、ファッション好きな人が楽しめる取り組みを開催している店舗もあるので、興味があればぜひご来店いただければと思います。

また、PLASTICITYのように、エコな素材に関して研究されているブランドはたくさんあります。例えばグッチが取り扱うエコナイロンとか、ステラマッカートニーのキノコから作られたレザーだとか。もし興味があれば、そういうさまざまなブランドの取り組みを調べておくと、もっと日々のお買い物が楽しくなると思いますよ。

エバンズ:Akiさんの作られたトートバッグを買うことや、コメ兵でユーズドアイテムを手に取ることは、私達が身近なところから始められるサステナブルな活動と言えそうですね。私も自分にできる範囲で、楽しみながらサステナブルな活動をしたいと改めて思えました。本日はありがとうございました!

writer profile
エバンズ亜莉沙
サムネイル: エバンズ亜莉沙
エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ):学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。