• 【私たちのサスティナブルVol.7】ファッションをサスティナブルな目線で楽しむベイカー恵利沙さん
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【私たちのサスティナブルVol.7】ファッションをサスティナブルな目線で楽しむベイカー恵利沙さん

リユースアイテムを活用して賢くオシャレになる方法をご紹介しているKÓMERUでは、サスティナブルなライフスタイルに注目しています。今回は、モデルをしながらスタイリストとしても活躍されているベイカー恵利沙さんにお話を伺いました。

大切にしているのは「自分で決めること」

今のキャリアはモデルを目指したことから始まったという恵利沙さん。モデルの仕事に興味をもったきっかけはなんですか?

ベイカー恵利沙さん

中学2年生の時に初めてサロンモデルをしたのですが、プロフェッショナルな人たちがそれぞれのパートを担って一つのものを作り出す工程を撮影現場で見て、「みんなで何かを創り上げるってなんて楽しいんだろう!」と思ったんです。それからずっとそういう場で仕事をしたいと夢見ていて。そもそも、おしゃれな祖母たちの影響でずっとヴィンテージアイテムに夢中だったので、ファッションにかかわる何かをしたいと思ってモデルを目指したんです。

ただ、事務所に所属している期間は思うように仕事が決まらず、企業からのオファーを待っているだけでした。そんな自分が嫌で…。今の自分ができることってなんだろうと考えて、Instagramで自分のファッションスタイルを発信するようになりました。

そしたら不思議なご縁があり、知人からスタイリストとしてのお仕事を受けたんです。そこから少しずつスタイリストとしての仕事が増えていって、そうしているうちに、私はモデルという役割でなくても何かを創り上げることができると気づいたんですよね。スタイリストを始めたことで、仕事の幅は本当に広がりました。

「常に相手からのオファーを待つ」のが嫌だという強い気持ちがあったのですね。

はい。私は「自分で決めること」が1番大事だと思っているんです。正解が分からないことでも、自分で選択したものは失敗しても誰のせいにもできないので、必死で正解を見つけようとしますよね。だから何事も自分で選択していきたいという気持ちがあった。

思い起こせば、両親から何かをしろと言われたことは今まで1回もなかったんですよ。今、私はニューヨークに住んでいるのですが、移住してきたときには家も仕事もない状況でした。それについても両親から何も言われなかったし、何も聞かれなかった。ただ、「私が決めたこと」においては、全力で応援してくれるんです。その代わり、自分で決めたことにはきちんと自分で責任を持たなくてはいけないことも教えてもらいました。

何をするにも自分で決めることの大切さを、両親から自然と学んでいったのだと思います。

ニューヨークに移住して感じた解放感

今ニューヨークにお住まいとのことですが、なぜ日本からそこへ移住しようと思われたのですか?

私は6歳までアメリカのオレゴン州に住んでいて、そこから日本に引っ越したんです。大人になったらまたアメリカに住みたいという気持ちがずっとあったんですが、なかなか勇気が出なくて。そんな中、2016年に仕事でニューヨークに行ったんですけど、そこで2週間過ごしてみて、初めて心地よく生きられた気がしたんですよね。日本にいたときは、同年代と同じタイミングで就職活動をするとか、安定した仕事につくことが良しとされているとか、そういう社会の常識や考え方に縛られている気がしてずっと息苦しかった。だけど、私らしく強く生きる方法を見つけることも、当時の私には出来なかった。それがニューヨークで解放されたような気がしたんですよね。

それをきっかけに絶対ニューヨークに住むと決めて、日本に帰ってからもその決意が揺るがないように、1年後に移住することを周りの人に宣言してましたね。ほとんどの人が心配してくれて、中には反対してくれた人もいたけど、自分を信じようと決めて。

実は、ニューヨークに引っ越してきたときに現地の人から移住した理由を聞かれたのですが、「ただここが好きだったから、何の計画もなくスーツケースを一つだけ持って移り住んできたの」と伝えたら、「That's the best way to move to New York (それこそがニューヨークに引っ越す最高の方法だよ)」と言われて感動したのを覚えています。

お住まいの地域で取り組んでいるエコフレンドリーな活動や仕組みについて教えてください。

ニューヨークの都市部ではコンポスト(※)がどこにでもあって、ごみ置き場に生ごみを普通に捨てることができるんです。なので、都市部に住んでいたときはニオイが出ないように生ゴミを冷凍して回収日まで保管していました。それに、リサイクルできる素材で作られた日用品が包装されず売られている店も多いですね。「日常で使うものを、ここまで土に還る形に変えることができるのか!」と衝撃的でした。アップステートに来てからは、ECサイトで日用品を購入していますが、ECでもサスティナブルなアイテムを売るお店が多くて、選択肢がすごく広いんです。ちなみに、ニューヨークに来てから野菜がプラスチックの袋に入っているのをほとんど見たことがありません。

※コンポストとは「堆肥」を作る容器のこと。

恵利沙さんは、今後都市部に住み続けるのではなく、ニューヨーク州北部のアップステートエリアに引っ越しを検討されているんだとか。

そうなんです。2020年の3月までは都市部でルームシェアをしていたのですが、3月のロックダウン前に引っ越さなければいけなくなってしまって…。ロックダウンしてから初めの数ヶ月はブルックリンで過ごしていたのですが、その後一度、パートナーとアップステートで試しに3ヶ月住んでみることにしたんです。

アメリカはコロナウイルス感染拡大の影響がかなり大きくて、レストランや美術館、室内施設が今もなお開いていないところが多く、都市部に住まう意味はあまり感じなくなっていました。仕事で忙しい時はルームシェアでも気になりませんでしたが、ステイホームだと同居のストレスを感じてしまう上に家賃も高い。色々なことが積み重なって、住む場所に対する価値観も変わってきたんだと思います。

環境問題に着目し、今のようなライフスタイルにたどり着いたきっかけを教えてください。

環境問題に対する意識は以前からから持っていて、自分の日常生活の範囲で問題解決に繋がるようなことができないかと考えていた時に、日々の消費活動の中で正しい選択をすることが理想の生き方だと気づいたんです。それからフェアトレードに興味を持ち、通っていた早稲田大学ではフェアトレードを広めるサークルに入って生産者の労働状況について勉強しましたね。

ニューヨークにきてから肉食をやめて、脱プラスチックの生活を本格的に始めたのですが、そもそもそれができる環境が備わっていたのが大きいかな。日本と比べて選択肢が本当に多いので、無理なくサスティナブルな生活を始められました。日本もその選択肢が多くなることを願っています。

地球は大きなサークル。全ての繋がりを意識することこそがサスティナブルな生き方

環境汚染に対するファッション業界の影響は多大であると言われています。現状を改善するために「企業」と「生活者」は何をしたらいいと考えていますか?

ちょっと抽象的な言い方ですが、ファッション業界は多くの人をビジュアルやムードで惹きつけられる業界だと思うんです。多くの人が憧れを持つファッション業界だからこそ、環境に対するムーブメントを率先して起こしていくリーダーになれる存在なのではないかなと。だから、正しい行いを当たり前にできるような社会を作り上げて行ってほしいと思っています。

私たち生活者は、買い物は「投票」であることを意識したらいいのではないかな。環境に配慮しているのかはもちろんのこと、人種差別をしていないか、労働者を不当に扱っていないかなど、その企業が投票するのに値するのかを見極める目を持てるといいなと思います。

私自身は環境に対して良いことをしているローカルのお店で商品を買うことを意識していますね。アイテムを買う前のリサーチは大変だけど、そのリサーチを通してやっと巡り会えたモノにはすごく愛着が湧きます。以前はお金を使うことが一つのストレス発散方法でしたが、今はモノを買う頻度もすごく少なくなりました。その分、思い出の詰まった一つひとつのアイテムを大切に長く使っていけるようになった。そんな生活が心地良いんです。

今回、サスティナブルジュエリーブランド「mi luna」のピアスをプレゼントさせてもらいましたが、恵利沙さんが普段洋服やジュエリーを選ぶ時のこだわりやポイントは何ですか?

最近は“人にストーリーを話せるアイテム”を身につけるのが好きです。ただ可愛いだけじゃなくて、一つひとつのアイテムが生まれた経緯や、どうやって自分の手元にたどり着いたのかを話せるものがいい。ユーズドのジュエリーからストーンを取り外して、そのストーンの個性を活かしたジュエリーに生まれ変わらせているというのが「mi luna」の面白いところだと思います。元々あったものがさらに素敵になって生まれ変わる、そしてそれがユニークでスペシャルであるということがとても素敵だと感じました。

幸せの象徴である宝石の裏側で、環境問題やいろいろな人が犠牲になっていることを知ったので、安心して身につけられるアイテムがあると嬉しい。デザインもさることながら、身につけたい理由が他にもあるのはいいですよね。

「サスティナブル」という言葉には色々な解釈がありますが、ベイカー恵利沙さんが考える「サスティナブル」とは何ですか?

地球は大きなサークルで、動植物は共存しています。環境を痛めるものは人も痛めることに繋がるし、全てがつながっている。本来の共存の形に戻ること。それ自体ががサスティナブルだと思っています。

都心にいると自分が地球のサークルの一部だと感じることがあまりなかったんですよね。アップステートでの暮らしを体験してからは、私たちは地球の一部として、他の動物や生き物と一緒に有限や資源の中で生きているということを初めて感じることが出来たんです。

このサークルの中で無理なく楽しみながら、お互いを尊重した行動をとること。それが私がめざす姿であり、サスティナブルであることだと思っています。

〈ベイカー恵利沙さん〉
オレゴン州と千葉県育ち。モデルとして活動をはじめ、スタイリスト、ブランドとのコラボレーション、執筆など、活動の幅を広げる。ELLEgirl UNIのメンバーとしても活躍。2017年よりニューヨークに拠点を移す。現在はファッションのみならず、サステイナブルなライフスタイルなどもInstagramを中心に発信している。

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